東北文教大学    
   
 2020年度 シラバス 短期大学部 総合文化学科

くらしと食

開講年次:1・2年次
卒業:選択
開講時期:前期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
菊 地 和 博 (実務経験あり)

■ 科目のねらい
 コア科目の領域におけるこの科目は、学生が学問の方法を身につけ歴史と文化を踏まえて人間や社会の出来事を総合的に理解し説明できるようになることをねらいとし、また、卒業研究にあたっての周辺的知識を得る科目として「関連」の科目群に配置している。
■ 授業の概要
 最初に日本における食文化の歩みや和食の歴史を理解する。次に和食がユネスコに登録されたことをきっかけに、なぜ日本が和食にこだわってユネスコ登録を試みたのか、その背景とねらいを十分に把握する。その上にたって、和食についての基本的な知識を得るとともに、どのような要素や構造で成り立っているのかを分析しながらその特質、特徴を理解する。また、和食は日本人が自然を大切にする心を保つなかで生活文化としての年中行事に組み込んで味わい楽しんできた歩みをしっかりと認識する。年中行事は各地域(郷土)ごとに展開されてきており、一方で和食は郷土料理としての側面を持っていることから、和食をとらえるには各地域の郷土料理の多様性にも目を向けていく。そこから、少子高齢化の進む地域の賑わいづくりの1つに食文化・郷土料理を活用した方法があることを様々な各地の事例から学ぶ。
授業担当者は、高校社会科教諭としての経験を活かして授業を展開していく。
■ 達成目標・到達目標
@和食について、日本の気候風土に根ざしつつ年中行事とともに発展してきた伝統的食文化であることをきちんと説明できる。
A地域固有の食文化について、観光的視点、地域づくりの視点からその必要性や有効性を語ることができる。
B日本人の食文化をとおして、食べることの大切さは生きることの大切さにつながること等を説明することができる。
■ 単位認定の要件
上記@ABについて、レポート・授業内提出物を通して60点以上を達成すること。
■ 単位の認定方法及び割合
期末レポート:60% 授業内提出物:10% 授業内活動:30%
■ 授業計画

第1回  ガイダンス
  授業計画とねらい・概要等を説明する。
(遠隔授業として実施)

第2回  現代の食文化のはじまり
  日本の食文化は、海・山・四季など恵まれた自然環境や気候風土の中で豊富で多種類の食材に支えられてきたことを理解する。
(遠隔授業として実施)

第3回  文明開化と食文化
  明治時代は「西洋料理」に対するものが「日本料理」であり、「和食」の用語は時代の変遷とともにのちの言葉であることを理解する。
(遠隔授業として実施)

第4回  和食のユネスコ無形遺産の登録
  和食が平成25年12月にユネスコ無形遺産に登録されたときの内容、意義、ねらい等について知る。
(遠隔授業として実施)

第5回  和食の基本とその要素
  和食には4つの基本構造で成り立つことや4つの要素からなることを理解する。(遠隔授業として実施)

第6回  もてなしとマナー
  食事の作法、礼儀、もてなしの場所設定と客人への態度などを知る。

第7回  色や雰囲気と食文化
  彩り野菜や陰陽五行に基づく五色の食の基調、食器・食卓・照明などの「しつらえ」の重要性を学ぶ。

第8回  自然の尊重と年中行事@
  和食の基本に季節感が盛り込まれることの意味を考え、また年中行事とのかかわりの中で和食は発展してきたことを理解する。

第9回  自然の尊重と年中行事A
  和食の基本に季節感が盛り込まれることの意味を考え、また年中行事とのかかわりの中で和食は発展してきたことを理解する。

第10回  地域の食文化(郷土料理)@
  地域の食文化(郷土料理)の多様性を理解して、豊かな食習慣や食生活と日本人を考えるきっかけとする。

第11回  地域の食文化(郷土料理)A
  農林水産省が発表している「郷土料理百選」を知り、食文化と地域振興や都市と農村漁村との交流の大切さを学ぶ。

第12回  食文化と観光
  食文化を通して観光客が通過型から滞在型、さらに定住型へと向かう魅力ある地域を目指して実践している事例を学ぶ。

第13回  食文化と商品開発
  地域住民が地元食材を活用して多種類の商品開発を目指して活き活きと取り組んでいる事例を学ぶ。

第14回  食文化とまちづくり
  食文化を通して、地域住民が行政を一体となってまちづくり・地域振興策に積極的に取り組んでいる事例を学ぶ。

第15回  振り返りとまとめ
  授業全体を振り返って内容のポイントを整理して食文化についての総合理解を得る。


■ 時間外学修
必ず授業内で、前回の授業内容についての感想を記述しなければならないので、授業後には学習の振り返りと再確認が必要である。当然ながら授業前にノートを整理しテキストに目を通して臨まなければならない。(目安時間:約4時間)
■ 課題に対するフィードバック
授業内で感想用紙を返却し、その用紙にコメントまたは口頭説明をしてフィードバックを行う。
■ 使用テキスト・教材
教材として15回分をまとめた資料(プリント)を事前に配布する。
■ 参考文献等
『和の食文化』全4巻 岩崎書店 2015年
■ 備考
■ 連絡先
菊地和博(kz_kikuchi[at]g-tbunkyo.jp)