東北文教大学    
   
 2020年度 シラバス 短期大学部 総合文化学科

日本語のしくみ

開講年次:1・2年次
卒業:選択
開講時期:前期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
佐 藤 亜 実

■ 科目のねらい
 コア科目の領域におけるこの科目は、学生が学問の方法を身につけ歴史と文化を踏まえて人間や社会の出来事を総合的に理解し説明できるようになることをねらいとし、また、卒業研究にあたっての周辺的知識を得る科目として「関連」の科目群に配置している。
■ 授業の概要
 あたかも空気のように身の回りにありながら見えない、アタリマエの言葉について考えたことがありますか?この授業では、さまざまなトピックスに基づいて、日本語を客観的かつ批判的ににとらえるための視点を身につけます。
 取り扱うテーマは、音声、文字、方言と標準語の、大きく分けて3分野です。各テーマ内では、1回読みきり型のトピックスを用意しています。身近な話題から理論的な話題にまで適宜グループワークもとり入れながら展開させたいと考えています。
■ 達成目標・到達目標
@ 日本語学・言語学・社会言語学に関する知識を身につけ、何も見ずに記述できるようになる。
A テーマに基づいた日本語に関わるトピックスを、言語学的視点から説明できるようになる。
B 「日本語」をことばの多様性から批判的に捉え直し、自分の言葉で説明できるようになる。
■ 単位認定の要件
上記の@〜Bについて60%以上を満たしたものに単位を認定する。
■ 単位の認定方法及び割合
期末試験:50% 授業内提出物:50%
■ 授業計画

第1回  ガイダンス:遠隔
  日本語とは何でしょうか。連続体の日本語を分断するものについて、主に話者の意識が何によって形作られているか考えます。

第2回  日本語学とは:遠隔
  日本語を扱う学問にはどんなものがあるか、日本語の特徴としてどのようなことが言われているのかを学びます。

第3回  音声と音韻:遠隔
  人間は発音のために身体のどの部分をどのように使っているでしょうか。音声学の基本、調音音声学を学びます。

第4回  語彙と意味(1):遠隔
  しりとりに強い人は、ある音で始まる語が多いか少ないかを利用しています。語種と語音配列則について学びます。

第5回  語彙と意味(2):遠隔
  日本語ではどのような語彙が使われてきたのでしょうか。語彙の歴史的な変化について学びます。

第6回  文字と表記
  ひとつの言語に少なくとも3種の文字を使う言語は、世界でも稀です。日本語における文字の機能と由来を学びます。

第7回  文法(1)
  「昨日はここにあった」「あ、あった!」は、同じ意味を表しているのでしょうか。テンスやアスペクトについて学びます。

第8回  文法(2)
  現在使われる言葉には、古典語から変化して現在の形になったものが多くあります。助詞や助動詞の使われ方について学びます。

第9回  敬語
  敬語には複数の分類があります。また、敬語の使い過ぎもよくありません。敬語のきまりやその使い方について学びます。

第10回  アクセントとイントネーション
  雨と飴、箸と端と橋。アクセントの役割はそれだけではありません。アクセントの機能やイントネーションとの違いについて学びます。

第11回  方言と標準語(1)
  方言を地域によって捉えるための枠組みは一つではなく、何通りかあります。どんな言語事象に着目するかによって変わるからです。

第12回  方言と標準語(2)
  言語地図では、方言周圏論を代表とすることばの変化が見て取れます。山形方言は地域的にどう区分されるかやその特徴も見ます。

第13回  方言と標準語(3)
  地域共通語、新方言、気づかない方言。うるがす、イチマルは有名ですが、内ズック、カットバンは?地域に新しく生まれる方言を見ます。

第14回  講義のまとめと小テスト
  これまでの講義の内容をまとめるとともに、小テストで復習します。

第15回  期末テスト
  講義内容のテストを実施します。


■ 時間外学修
ノートに授業内容の要点をまとめ、図書館で関連する文献を探し該当箇所を読んでおく(毎回2時間)。また授業で取り扱った日本語学のテーマや考え方の枠組みで説明可能な現象を探し、メモしておく(毎回2時間)。
■ 課題に対するフィードバック
課題は、後の授業回で解説します。小テストは、その授業回で解説します。
■ 使用テキスト・教材
教室で配布します。
■ 参考文献等
岡ア友子他編(2017)『ココが面白い!日本語学』ココ出版
荻野綱男編(2018)『現代日本語学入門改訂版』明治書院
工藤浩他(2009)『改訂版日本語要説』ひつじ書房 他
■ 備考
毎回の授業最後に小さな課題をやってもらい、それを授業内提出物(50点分)とします。
■ 連絡先
ami_sato[at]g-tbunkyo.jp