東北文教大学    
   
 2020年度 シラバス 短期大学部 総合文化学科

異文化相互理解

開講年次:1・2年次
卒業:選択
開講時期:前期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
權   純 縣

■ 科目のねらい
 共通科目領域におけるこの科目は、実務遂行能力を身につけ、知識や技術をもとにコミュニケーション能力とともに教
養を深めるため、「教養」群に設置されている。
■ 授業の概要
『行燈の下は暗い(灯台下暗し)』という諺の通り、日韓間をはじめとする近隣諸国間には近いが故の「知った積り,理解
されて当然」という意外な落とし穴があります。近しく親しい間柄こそ互いをよく知り理解しようとする心掛けと努力が
必要です。
 この授業では、韓国の長い歴史に培われた様々な文化や慣習を紹介し、日本との共通点や相違点を学びます。
テーマによっては比較対象をアジア全体や世界各地に広げ、異質な文化がいかに大切に受け継がれているかを考察するこ
とにより、異文化を持つ人々への理解を深めます。またグループワークを通して互いに尊び向上し合う姿勢を養う学生間
の意見交換も積極的に行います。
■ 達成目標・到達目標
@韓国の古代史から近現代史までの大きな流れを把握し、日本との来し方と緊密性について述べることができる
A日韓間の種々の伝統文化や習慣の違いと双方での意義を、歴史背景を基に自分の言葉で明確に説明できる
B異なる思考や文化を持つ相手に対して持つべき姿勢とはどのようなものか、自分なりの考えを述べられる
C韓(朝鮮)半島分断の経緯と現状を知り、南北の抱える問題と今後への展望について自らの見解を打ち出せる
■ 単位認定の要件
上記@からCの項目全てにおいて、60%以上理解すること。
■ 単位の認定方法及び割合
期末試験:70% 授業内提出物:10% 授業内活動:20%
■ 授業計画

第1回  学習プリント「韓国の姓名」をよく読み、韓国の苗字と名前について知り得たことをノートにまとめる。
  また、日本の姓名との違いなども書き出す。(遠隔授業)

第2回  学習プリント「諺十選 韓日表現の比較対象」を参照し、ことわざにおける表現の違いや共通点をノートに
  書き出し、表現の違いにはどのような理由や背景があるか考察する。(遠隔授業)

第3回  学習プリント「富澤学園 山形城北高等学校・大韓民国 三山学園 正義女子高等学校 両校姉妹校交流の主な足跡
  参照し、交流の経緯を開始時期から年代ごとに追う。両校はなぜ姉妹校交流を始めたか、交流の継続にはどのような
意義があるかを考察し、ノートにまとめる。(遠隔授業)

第4回  学習プリント「箸の使い方 無作法編(日本)」を参照し、感想を述べる。次に韓国の箸と匙について、形や材質
  などを調べ、その内容をノートにまとめる。日本との違いや共通点にもふれる。(遠隔授業)

第5回  遠隔授業最後の課題として、次の二点をテーマとし時数800字以上を目安に文章を作成する。(遠隔授業)
   @本授業を選択した理由や動機、きっかけなど
 A本授業を通してどのようなことを考察し、学びの機会としたいか、授業への抱負

第6回  遠隔授業内容のおさらいと解説(1)
  @本授業の趣旨と学習目標をあらためて確認し、多文化理解の基本について解説。
A韓国の姓名に関し、担当者の自己紹介を通して、韓国の三大苗字や大姓、稀姓・復姓などの珍しい苗字を知る。
B『族譜』を解説し、本家の始祖と賜姓、子子孫孫を代々記す『族譜』の存在と、近年の戸籍法改正について学び、韓国の人々の
 苗字と名前への思いと、伝統的な習慣を知る。

第7回  遠隔授業内容のおさらいと解説(2)
  @『孫のあご髭が白くなる?』地政学上厳しい環境にあった韓国の、民族の気質に根差した滑稽味と風刺にあふれる諺や比喩表現を
  学び、日本や中国、世界各国の言い回しとの比較を楽しむ。
A匙の文化・箸の文化 国の食事にはスッカラと呼ばれる多機能の平たい楕円形の匙が欠かせない。世界には箸や手、フォーク等々。
 韓国や各国の食事の際の礼節や独自の食文化を学ぶ。

第8回  富澤学園と韓国三山学園(1)
  今年34年目を迎える本学園と韓国三山学園の姉妹文化交流。姉妹締結の井戸掘りをした両学園先達が日韓の若人に託した思いを知り、
34年間の姉妹交流の軌跡を追う。

第9回  富澤学園と韓国三山学園(2)
  @三山学園 正義女子高校について紹介。
A富澤学園 山形城北高校と三山学園 正義女子高校との姉妹校交流の様子をVTRで鑑賞。

第10回  「訓民正音」(?? ハングル) の世界 (1)
  国字ハングルの原型、古代文字「加臨多(カリムト)」と、文字創製の指揮を執った朝鮮王朝第四代の世宗大王の存在、
男手と呼ばれた漢字との併用までの道のりを探る。

第11回  「訓民正音」(?? ハングル) の世界 (2)
  @ハングルの仕組みと機能、母音と子音の成り立ちを知り、実際のハングルにふれて親しむ。
A漢字語の用法についての日韓比較。『男便(ナムピョン)』と通い婚『男便』は夫,『人事』は挨拶,『工夫』は勉強の意。
 韓国語における漢字語の遣いを学習し、漢字の母なる国中国と、日本、三国それぞれの漢字語の意味の違いを識別する。

第12回  陰陽五行十干十二支 六十甲
  韓国国旗の四隅にある符号のようなものは「当たるも八卦, 当たらぬも八卦」の卦。ハングルの母音の基も卦。
曜日や干支、年回りなど日常に溶け込む陰陽道の世界を探究。

第13回  民族の悲哀 南北分断
  韓(朝鮮)半島が南と北に分かたれて半世紀以上。離散家族は双方合わせて一千万人に上る。分断の経緯と混迷を極める半島情勢と
民族の悲痛な思いを解説後、韓国映画『JSA』を鑑賞。
『JSA』は名匠朴チャヌク監督の作品。映画の舞台はタイトル通り、南北を隔てる非武装地帯共同警備区域JSA。
民族の緊張と冷戦の傷がむき出しの半島情勢理解に役立てる。

第14回  韓国映画『JSA』後半部を鑑賞
 

第15回  期末試験
  上記【学習目標と評価基準】に沿って、五問ほど出題予定。


■ 時間外学修
〈予習〉授業に臨む前に、シラバスに記した授業内容とテーマに毎回目を通し、キーワードに関する下調べを丁寧にして
    おくこと。(目安時間 各約2時間)
〈復習〉配布した資料や学習プリント, ノートに整理した内容を基に考察し、受講内容の理解を深めて自ら説明できるよう
    にしておくこと。(目安時間 各約2時間)
■ 課題に対するフィードバック
授業内の発表や回収するレポートについては、講評や添削を行う。
■ 使用テキスト・教材
資料・学習プリント各種, 視聴教材
■ 参考文献等
「訓民正音」(東洋文庫 趙義成著)・「ハングルの誕生」(平凡社 野間秀樹著)・「海游録−朝鮮通信使の日本紀行−」
(東洋文庫 申維翰著)・「絶望は私を鍛え、希望は私を動かす」(晩聲社 朴槿惠著)
■ 備考
1.テキスト代わりの種々のプリントをきちんと綴じて保存し、授業中も参照できるようにしておくこと
2.板書や解説の内容と、自らの考察と授業ごとの所感をノートによく整理しておくこと
3.講義内容に関して(それ以外についても)学内の留学生と普段から積極的に対話する習慣を持つこと
■ 連絡先