東北文教大学    
   
 2020年度 シラバス 短期大学部 人間福祉学科

コミュニケーション技術T

開講年次:1年次
卒業:選必  福祉レク:必修  介護福祉:必修
開講時期:後期 授業形態:演習 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:1 単位
下 村 美 保

■ 科目のねらい
本科目は、介護福祉専門領域のキャリア教育に基づく科目を配置してる「介護福祉専門教育科目」の領域の科目であり「介護」に位置づけられています。「介護」では、主に「尊厳の保持」「自立支援」を踏まえ、あらゆる介護場面で活用できる基本的な介護の知識・技術を修得する科目を配置しています。本科目では、介護を必要とする者の援助的なコミュニケーションの必要性と内容を理解し、基本的なコミュニケーション技法の演習を通して、対人援助の専門職として実践できることを目指します。
■ 授業の概要
授業では介護とコミュニケーションの関係を講義し、コミュニケーションに求められる課題ごとに基礎的なコミュニケーション技法をグループで演習を行います。
「私は相手に十分に関心をもっています」を、ごく自然に伝える身体面の動作について、また、非言語的コミュニケーションの意義と特質、利用者の感情を察する技法、同意と納得を得る技法、質問技法などについて演習を通して講義します
■ 達成目標・到達目標
@介護におけるコミュニケーションの意義を理解し述べることができる。
A自己の態度についての理解の必要性、自己を活用する援助について、コミュニケーションの意義と関連付けて
述べることができる。
B介護現場で必要な基礎的なコミュニケーション技法を理解し、適切に用いることができる。
C共感について傾聴・受容の用語を用いて説明することができる。また、その際、共感の技法についての説明も
含めることができる。
■ 単位認定の要件
@〜Cの項目すべてについて、合計60点以上の点数を獲得することができる。
■ 単位の認定方法及び割合
授業内提出物:25% 授業内試験:60% 授業内活動:15%
■ 授業計画

第1回  オリエンテーション、介護におけるコミュニケーション
  授業の概要について説明する。
介護におけるコミュニケーションの意義、目的、役割について、また、家族との関係づくりの必要性を理解する。

第2回  介護におけるコミュニケーション
  人間的・効果的なコミュニケーションの基本について説明する。
演習「私は・・・」を通して、自分のこころの窓について理解する。

第3回  介護におけるコミュニケーション
  ジョハリの窓について説明し、二者間でのジョハリの窓のやりとりや自己開示の関係性の進展について理解する。また、自分自身の自己開示の傾向について考察する。
演習「アクセント・速さ」を通して、準言語である語調(アクセント)や速さの違いによる、相手への与える印象について理解し、自分自身の準言語コミュニケーションについても理解する。

第4回  利用者・家族との関係づくり
  利用者家族との信頼関係の形成につながる技法を学ぶ。
演習「姿勢・態度・距離」を通して、他者に向かい合う際の態度などの特徴や癖について気づくことや面接場面でのクライエントに向かい合う態度、姿勢や距離、位置などについて考察する。
かかわりを示す五つの基本動作「ソーラー(SOLER)」について説明を行う。

第5回  利用者・家族との関係づくり
  演習「非言語的メッセージ」を通して、非言語的メッセージの内容は、多様な意味を持っていることを理解する。
非言語的コミュニケーションについて説明を行う。

第6回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  話を聴く技法を学ぶ。
演習「聴くこと・聴かないこと」を通して「よき聴き手」とはどのようなものかを理解する。
傾聴について説明を行う。

第7回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  利用者の感情表現を察する技法、演習「価値交流学習」を通して、価値観の違う相手との向き合い方について考える。
受容について説明を行う。

第8回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  利用者の感情表現を察する技法、演習「受容の実践」を通して、利用者が「受容してくれた」と実感できるような応答技法を学ぶ。
受容、傾聴、共感について説明を行う。
演習「励ましと共感」を通して、利用者が「共感してくれた」と実感できるような応答技法を学ぶ。
また、励ましの注意点について説明を行う。

第9回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  納得と同意を得る技法、演習「繰り返し」、演習「明確化・要約・共感」を通して、効果的な聞き方について体験する。

第10回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  質問の技法について説明を行い、利用者と介護職間の質問は、質問の形式をとって交わされるこころのやりとりが重要であることを学ぶ。

第11回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  演習「閉じられた質問・開かれた質問」を通して、核心を捉えて質問の技法を理解する。

第12回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  相談・助言・指導の基礎を学ぶ。
「身近な相談相手」としての介護職の役割を理解する。
バイスティックの7原則について説明を行い、介護職に求められる相談の技法を理解する。

第13回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  意欲を引き出す技法の基礎を学ぶ。
利用者の意欲低下に気づくこと、意欲低下の背景を考えることの重要性を理解し、利用者の意欲を引き出す技法について理解する。

第14回  利用者・家族とのコミュニケーションの実際
  利用者本人と家族の意向の調整を図る技法の基礎を学ぶ。
利用者や家族の意向それぞれを把握し、利用者の意向を家族が理解できるようにするための働きかけや、利用者と家族の意向が一致するように支援する技法を学ぶ。

第15回  まとめ
  コミュニケーション技法に関する知識習得について確認する試験を行う。
授業全体の振り返りと補足説明を行い、自分のコミュニケーション能力の振り返りも行う。


■ 時間外学修
・授業内で行った演習内容に該当する箇所についてテキスト等を読み理解を深め、演習で行ったコミュニケーション技法
の効果について説明することができる。(目安時間:約1時間)
■ 課題に対するフィードバック
授業内提出物や課題については、発表や回収確認後にフィードバックを行う。
■ 使用テキスト・教材
最新・介護福祉士養成講座第5巻『コミュニケーション技術』(中央法規出版)
■ 参考文献等
■ 備考
■ 連絡先
m_shimomura(at)t-bunkyo.ac.jp