14 ねずみ浄土

 むかしあったけど。
 おじいさんとおばぁさんがい、おじいさんは山さ柴伐りに行った。そうしたら ば、おじいさんが昼間になったもんだから、おにぎり、おばぁさんがうまく作っ て呉っじゃもんだから、じいさんが楽しみにして、そのおにぎり食っていたらば、 そのおにぎりがよ、コロコロンと転んで行ったんだど。そうして転んで行って、 あらと思って追っかけたらば、その大きいねずみ孔あって、そのねずみ孔さ、コ ロコロンと入って行ったんだど。そして入って行ったらば、
「いや、とっても聞いたことのない、ええ音したもんだ」
て行ったのよ。はいつ、まずええ音に恋れて、おにぎりみなコロンコロンと落し たど。いや、きれいな音すっずもよ、んだもんだから、おにぎり食ねでみなそこ さ入っでやったなてよ。
「ああ、こんどなくなったなぁ、こりゃ」
 なて、おじいさんが言うていたらば、
「んじゃ、おれ入って行ってみっか。あがえにきれいな音立てっどこさ、おれも 入ってみっかなぁ」
 なて、おじいさんがねずみ孔さ入って行ったど。そうしてこんど行ってみたら ば、ねずみの世界で、きれいできれいで、奥の座敷の方ながめたらば、床の間の 上に、宝物、ねずみ引いてきたんだか何したんだか、宝物いっぱい上がっていだっ たど。そうしてねずみ共いっぱいいて、
「あら、おじいさん、ただいま、ありがとう。何も食べないでいたもんだから、 腹うんと減っていたどこで、ええどこさおにぎりころんできたもんだから、みん なで喜んで分けて食ったぜはぁ」
 て、ねずみ言うたてよ。そしてこんど、
「おじいさん、ここ、ねずみの国だげんど、ええどきはいっぱい泊って行ってお くやい」
 て言うなだど。ほうして、おじいさんも、おばぁさんが待っているもの、そが えにおれも安態して泊っていらんねと、まず、底芯からうんと心配しったど。そ うしてなんぼ泊ったんだか、二つ三つ泊って、御馳走になって、ねずみの踊り見 せらっで、うんとあつかわっで、一日だか二日だか、おじいさんが忘っだほどだっ たど。そうして帰りに、「帰る」て言うたらば、
「ほんじゃ、送って行んから、目くっついでみろ(つぶっていなさい)」
 て言わっで、目つぶっていたば、また元のどこの山のねずみ孔の傍さ送って来 たど。そうして、そのおじいさんが宝物いっぱいもらって、おばぁさんさ帰って 行ったど。そうしたらば、おばぁさんが心配して青くなっていだったど。まず帰っ て来ないもんだから、そしてこんど土産・宝物いっぱいもらって、
「こかえもらって来た。お前におにぎりうまくこさってもらったもんだから」
 て、おじいさんがいろいろ話してよ、おじいさんとおばぁさん喜んでいたどこ さ、隣のおじいさん来たど。そうして隣のおじいさんがおばぁさんにおにぎり握 らせて、ねずみ孔どこだの、ここだのて聞いて、そしてそこのどこさ、おにぎり 落してやったど。ほして、おじいさんに聞いたように、ばらばらおにぎり早く落 して、おじいさんが落ちて行ったど。そしたらやっぱり見たらば、床の間でも、 そこらでも、宝物、とってもええ物いっぱいあるもんだから、その隣の欲ふかお じいさんが、
「あの、こがえに宝物いっぱいあるもの、ねずみだもの、猫のまねしたらば、ね ずみ、みな逃げて行って、この宝物をおれすっかり持って家さ帰られんべ」
 と思ってよ、ほうして、ニャオニャオて猫のまね、三べんしたど。ほしてこん ど、ねずみども、たまげて逃げて行ったらば、そこ真暗になって、何も見えなく なったど。そんでそのおじいさんが出て来らんねべしはぁ、モグラモチになって しまったど。ほだからお前だ、けっして欲ふかいことなどさんねもんだぞ。どー びんと。
(伊藤せう)
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