15 中将姫の曼陀羅

 中将姫という方は機織りの神様だった。 そしてお曼陀羅織りというの、その人発 明しておくやってそれから綾錦なて織る ようになったど。そのお曼陀羅織りのと き、糸はこごって、その機織りのとき、 その糸なくてはなんね糸は、こごった。
 そうすっじど、神様さお願いして、
「おれはお曼陀羅織るのだから…」
 と、〝中将姫のお曼陀羅、中将姫のお 曼陀羅〟、というもんで、一生懸命でと なえ方したところが、自然と糸はほごっ で来て、その機、満足に織ったという。
 また裁縫のとき、あるお姫さまが衣縫 うに針なくして縫わんねごどあった。そ んときのとなえは清水が音羽の流れは細 かったり太かったりしないで、かまわず 出きているんだと、だから、
  清水の音羽が滝が止まるとも
   失せたる針は出ぬこともなし
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