17 すりまげ

 むがすむがす、大岡さまが、泥棒はいけないが、スリはよろしい。ただしすりまげという、特別の髪の結い方をすんなねて、いうたけど。
 一般の人はみんなそのまげを見て、
「ああ、スリ来た。スリ来た」
 て、貴重品、仕舞い直したもんだど。
 むかしは、どこの村でも一度はお伊勢さま参りはしたいもんだなぁて思って居て、団体組んで行ぐなだけど。
 無事、お詣りもすんで、江戸見物でもして帰るべぇと思ったげんと、懐具合がみんな淋しぐなったけど。長旅で頭もボサボサになったもんだから、床屋さ行ぐべぇて、髪結いさ行ったんだど。
 その団体さ、少々タリンスな人()だけど。したれば床屋では、あんまりツポカポ(まなぐ)して、ムゲツブみだいしているもんだから、スリマゲ結って呉だんだど。しまらね口して、ほっつこっつ見物して来たら、ものすごい早さで走って来たど思ったれば、ドーンと、そのスリマゲのタリンスさ、嫌っていうほど、ぶっつかったんだど。したけぁ、袖の辺りが重だくなったんだど。調べてみだれば、大した金だけど。本物のスリが役人に()わっで、逃げられなくなて、同業のスリマゲ結った奴さ入れで行ったなだけど。スリマゲ結ってもらったタリンスのおかげで、みんな楽しく見物してきたけど。
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