16 狸とむじな

 狸ていうな、海辺に住んでいんな〈狸〉ていうたもんだ。山にいんなは、みな〈むじな〉だ。
 んだから、〈むじな〉ざぁ、みな腹ふぐっで、腹づつみざぁ()たねんだ。〈狸〉ざぁ、海辺にいて、海の雑魚、腹ふだに(いっぱいに)食ってっから、滋養ええぐなって、ああいう風に腹さ脂たまって、腹ぽんぽんになって、腹づつみ打つんだど。ここらの〈むじな〉は滋養がええぐなるほどには餌(もの)食わんねから、だめだ。みな〈むじな〉ばりで、〈狸〉ざぁ山にいねんだど。
 んだから、ここらでは「狸寝入り」て言わねで、「むじなつかして」と、よく言ったもんだ。
 商いする人は「狸」は「他を抜く」ということで珍重したが、百姓は「田をぬく」というので(きら)ったもんだど。
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